Collaboration with

Tawayura

Profile

Issei Takeuchi

Name
竹内 一晴
School
日本工学院専門学校 デザイン科
プロダクトデザイン専攻 2年

2006年、東京都生まれ。特定のデザイナーに影響を受けたわけでもなく、見たことのないものに惹かれ、かたちにするという好奇心や衝動がデザインの原動力。Youth Portfolio 2025 優秀作品を受賞。

Product Concept

Tawayura

まだない休み方を、公共空間に。立って寄りかかり、揺られながら休む。座るでも寝るでもない、新しい身体の預け方。人と視線を交わさず、それぞれの距離を保ちながら過ごせる、待ち合わせのためのプロダクト。

Details

Interview

注目したのは、待ち合わせの気まずさ

学校の授業の課題としてYouth Portfolioに参加することが決まった。竹内さんの頭にあったのは、まず“まだないもの”をつくることだった。

「何をつくろうかなと考え始めたとき、まだないものをつくりたいなと思いました。なさそうなものを探していたら、ハンモックのバリエーションってあんまりないなって。それで、立てたハンモックみたいなプロダクトをつくろうと決めました」

学校の授業の課題としてYouth Portfolioに参加することが決まった。竹内さんの頭にあったのは、まず“まだないもの”をつくることだった。

「何をつくろうかなと考え始めたとき、まだないものをつくりたいなと思いました。なさそうなものを探していたら、ハンモックのバリエーションってあんまりないなって。それで、立てたハンモックみたいなプロダクトをつくろうと決めました」

理想と現実のあいだで

書類審査用に提出した縦型のハンモック、名前は「Tawayura」と命名した。「立つ」と「揺れる」、その二語をアレンジして「わ」を添えただけ。その軽やかな語感がもつイメージが感覚的に伝わってくる。自分なりに納得できるデザインに、最終審査でプレゼンを聞いた審査員たちも可能性を感じた。

「都心の駅前で使われることをイメージしたんですけど、審査員の方たちから『生地の部分に広告を出したい企業がいるかもしれない」と言われて、それは自分がまったく想定してなかったシーンでした。そういう評価や他のプレゼンを聞いていくなかで、言い方は良くないかもしれないけど、なんかいけるかも、勝てそうだなと自信になっていきました」

数千、数万人規模が集まるスタジアムや野外フェスの会場において、Tawayuraのような既視感のないプロダクトは多くの注目を集め、話題になるだろう。SNSに投稿されやすく、生地に企業広告がプリントされた商用も違和感がない。さまざまな可能性を示したTawayuraは優秀作品に輝き、実物化へのプロセスに進むこととなった。

別注家具製作所との打ち合わせで明確になったのは、構造や素材との調整が必要であること。得に印象に残っているのは、テント生地を引っ掛ける金具まわりだという。経験豊富な金物やテント生地の職人たちも最適なかたちに頭を悩ませた。

「京都の工場に行ったとき、金具のところでかなり時間がかかりました。強度というより、デザイン的にすっきり見えるようにしたいのと、下側で布地を引っ張らなきゃいけない構造の問題があって。どうやってバランスをとるのか、職人の方たちも戸惑っていたのが印象的でしたね」

前例のないプロダクトだからこそ、デザインを再現する職人たちにとってもチャレンジング。電話や遠隔でのやりとりだけでは難しい場面もあった。

「どこをジョイントするか、どこを溶接するかとか、テントのテンション感と張り方、止め方も、全部はじめてのことだったので。自分のこだわりを伝えつつ、丁寧にコミュニケーションしながら進めていく感じでした」

一方で、完成形はコンペ時のイメージから大きく変わったわけではない。サイズや布の寸法を調整しながらも、全体の印象はかなり忠実に保たれた。当初は高さ約250cmを想定していたが、最終的には約220cmに落ち着いた。

「基本的に変わったのは高さと布のサイズ感ぐらいで、その他は3Dのイメージとほとんどズレてなかったですね。生地の色も、当初はグレー寄りだったんですけど、ベージュに変更しました。単純に、自分はベージュのほうが好きなので」

“変なもの”をつくる

こうして完成したTawayuraは、休憩のためのプロダクトにとどまらず、広告媒体としての視認性があり、造形としても印象に残りやすい。実物を見て、竹内さんは新たな拡張のポイントを見出した。それはカラーバリエーションだ。

「ベージュが軸になる色だとしたら、色の展開にはまだ余地があると思いました。ビビッドな色とか、ポップな色でもおもしろそう」

手応えのあるプロダクトをかたちにした竹内さん。学生時代に自身のデザインを実物化するという貴重な経験を糧に、将来の進路はプロダクト、あるいはインテリアデザイナーを目指す、かと思いきや、意外な答えが返ってきた。

「まったく決まってないです、ノープランですね(笑)。先生には早く決めろと言われるけど、親も放任主義なので」

それでも、「Taayura」の根っこにある感覚ははっきりとしている。

「すでに存在しているものよりも、なにか新しい変なものが好きなので」

誰か特定のデザイナーに影響を受けたわけでもなく、将来の像が高い解像度で見えているわけでもない。ただ、見たことのないものに惹かれ、その違和感をそのままかたちにしてみたい。その好奇心と衝動的な感覚こそ、「Tawayura」という既視感のないプロダクトを生み出した。